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オウリーの回避は、洞察力からの予測ではなく、単に知覚と身体能力の所業だった。
それが逆に始末に負えない。
ロイは構わず詠唱を紡いでゆく。
その脇を抜ける影はフリード。
片腕を失っているにもかかわらず、疾風の如く鋼糸を魔神の首に巻きつける。
その瞬間、糸を伝って雷撃が魔神を襲った。
(直撃!)
魔神はピクリと眉を動かしただけで、苦痛のうめき声すら洩らさなかった。
凄まじい電撃に苛まれながら、糸に手をかける。
絶対に切れないはずのフリードの鋼糸が、それだけであっさり断ち切られた。
フリードが飛び退く。
入れ違いに飛び込むグスタ。
巨大な鉤爪がオウリーの頭蓋目がけて振り下ろされた。
ドラゴンの躯体さえ苦ともしないグスタの強撃。
だが、オウリーはそれさえ片手で受け止める。
「ぐっ……」
グスタの呻き。
彼の脇腹が爆ぜたのだ。
血飛沫が上がるなか、ダメージに構わずグスタが逆の腕を横殴りにする。
オウリーの身体はその力に地面を滑走した。
ロイの魔法がそこで完成した。
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