Chapter 20

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「氷王無限凍宮!」 オウリーを取り囲んで、大きな円が浮かぶ。 次の瞬間、それは天へ伸びる巨大な塔へと姿を変えた。 圧縮された氷柱が鳴く。 内部で起こる超低温に、軋んでいるのだ。 たとえ魔神だろうが、生物である以上温度の影響は免れない。 血まで凍らせて生き延びる存在などない。 そのはずだった。 氷が大音響で裂ける。 そこには、障壁で身を包むオウリー。 砕けた破片が舞い散る中に、セシリアが突っ込む。 「来たな。愚かな女よ」 「わたしはお前と共に過去を断ち切る!」 驚くべきことに、セシリアの剣はロイの最上級魔法さえ防いだ障壁を、一撃のもとに切り破った。 魔神の顔が喜びと驚きに歪む。 が、刃は肝心の敵へ触れることが出来ない。 超がつくほどの身体能力が、回避を成功させたのだ。 飛翔の勢いで突き抜けるセシリア。 彼女の顔は、魔神とは対照に苦渋に歪んでいる。
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