13567人が本棚に入れています
本棚に追加
「氷王無限凍宮!」
オウリーを取り囲んで、大きな円が浮かぶ。
次の瞬間、それは天へ伸びる巨大な塔へと姿を変えた。
圧縮された氷柱が鳴く。
内部で起こる超低温に、軋んでいるのだ。
たとえ魔神だろうが、生物である以上温度の影響は免れない。
血まで凍らせて生き延びる存在などない。
そのはずだった。
氷が大音響で裂ける。
そこには、障壁で身を包むオウリー。
砕けた破片が舞い散る中に、セシリアが突っ込む。
「来たな。愚かな女よ」
「わたしはお前と共に過去を断ち切る!」
驚くべきことに、セシリアの剣はロイの最上級魔法さえ防いだ障壁を、一撃のもとに切り破った。
魔神の顔が喜びと驚きに歪む。
が、刃は肝心の敵へ触れることが出来ない。
超がつくほどの身体能力が、回避を成功させたのだ。
飛翔の勢いで突き抜けるセシリア。
彼女の顔は、魔神とは対照に苦渋に歪んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!