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カインはそこに飛び込んだ。
魔武器に皇炎をたぎらせ、最速の挙動で叩きつける。
オウリーはそれをまた手で受け止めようとしたが、なにを思ったか回避に転じた。
身を沈ませ、蒼炎を潜り抜ける。
「流石に驚いたぞ。人がその炎を使うとはな」
魔神の声を聴きながら、左腕を掲げた。
「降魔紅蓮斬!」
膨れ上がる巨剣。
姿勢を落としたオウリーに追撃をかける。
その炎は奴の手が受け止めた。
上級魔法とはいえ、皇炎より熱力の劣る攻撃に触れることに、躊躇いがない。
(じゃあこれでどうだ!)
魔武器から炎を消し去る。
魔法を受け止め続けるオウリーは一瞬訝しんだが、次の瞬間、大きな動揺に目を開く。
それは初めて笑みが消えた瞬間でもあった。
降魔紅蓮斬に制御と魔力をねじ込む。
炎は瞬く間に蒼く変わっていった。
それまであった放熱がピタリとやんだが、それは熱の消滅ではない。
オウリーが素早く距離を取る。
最中、その掌が焼け爛れているのが僅かに見えた。
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