Chapter 20

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(そうだ! 俺らの力は魔神に通じるんだ!) それを意識したとき、自分の左腕が折れていることに気付いた。 いつ何をされたのか知覚も出来ない一撃。 激痛に唇を噛みながら、それでも腕を持ち上げる。 セシリアがさらに襲いかかる。 オウリーはそれを躱すが、その後に降り注いだ巨大な岩は受け止めた。 それは隙だ。 フリードの放った雷電の槍がオウリーを襲う。 咄嗟に障壁が張られたが、そうはさせじとセシリアの剣が打ち崩した。 防御を失い、飛び退くオウリー。 そこにロイとグスタの魔法が同時に炸裂する。 連撃は終わらせない。 「炎王滅殺魔牢!」 カインは最上級魔法を詠唱破棄で発動させた。 先刻の連鎖が威力を最大にし、減衰する瞬間を狙ったのだ。 薄紅の隔壁がオウリーを閉じ込める。 次の瞬間、視界は白光に染まった。 大地をも溶かす超高熱に、全員が距離を取る。 いや。ひとりだけそうしなかったものがいた。 魔法の効力が終わり、隔壁が消える瞬間を狙って飛び込んだのは、セシリア。 いまだに熱を持つ大気を突き抜け、矢の如くオウリーの喉元を狙う。
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