Chapter 21

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「なにを見てるの?」 ふいに聞こえた声に、ヨハンは顔を向けた。 ギルドの北館から、使用人の女性が中庭に出てくる。 「空、かな。 ずっと医務室で缶詰だったから、息抜きに見たくなって」 「そっか。でも、風がそろそろ冷たい季節よ。 身体が冷えちゃうといけないから、入ろう?」 白と黒を基調とした使用人服姿で、セシリアが近づいてくる。 彼女は自分が座る車いすを押そうと、背後に回った。 「ねえ。セシリア」 「ん?」 ヨハンは視線を上げた。 蒼い空の中に、優しく微笑みながら覗き込む彼女の顔がある。 「俺、卒業したら絶対ギルドに入るよ。 強くなって、必ずセシリアをあいつから解放してみせる」 彼女はふと手首を見下ろした。 そこには白い包帯。 以前は知らなかったが、その包帯が何を隠しているかを、もうヨハンは知っている。 セシリアを縛る呪いの証だ。
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