Chapter 21

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中庭は穏やかな静けさに包まれていた。 建物の中にある張り詰めた喧噪も聞こえてこない。 でも。と、セシリアはつぶやいた。 「悪いこと教えるわけじゃないし、もしかしたら大丈夫なのかな」 「え? ほんと?」 「あとでマスターに訊いてみる。 もし了承もらえたら、なにかアドバイスしてあげれるかも」 「よっし! 行こう。今から訊きに行こう!」 車輪を回そうと手をかけるが、セシリアはそれを制止した。 背後で持ち手を掴んだらしく、ピクリとも動かない。 「気が早すぎるよヨハン。 ちゃんと傷が治って、学園に戻れてからじゃないとダメです」 「うっ……はい」 ぴしゃりと言い諭され、ヨハンは意気消沈して頷いた。 それが面白く見えたらしい。 セシリアが肩に手を置き、控えめに笑った。 たまらなく愛おしい声で。
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