Chapter 21

7/9
前へ
/1028ページ
次へ
「セシリア」 彼女が優しく笑う。 そして、その顔が近づいた。 (っ!) 頬に触れた唇。 耳元にセシリアの吐息が触れる。 「わたしもヨハンが大好き」 と。 「いぃやっほぉぉっ!!」 北館と南館の窓が一斉に音を立てて開き、歓声が飛び出してきた。 ずらりと並ぶ、ギルドの面々。 全員がニタニタと笑っている。 「な、なんだぁ!?」 「ヨハン、やったね!」 「おめでとう!!」 「くっそぉヨハン! 俺のセシリアちゃん返せぇ!」 最初の声は北館のエルダ。 次が南館からで、受付嬢レニアだ。 最後は分からない。 というより、その後も膨れ上がる声の嵐に、ヨハンは聞き取ることが出来なかった。 状況を飲み込んだのは、たっぷり時間を費やしてからだ。 「……み、見られてた」 「そうみたい」 唖然とセシリアの声が返ってくる。 彼女も知らなかったらしい。
/1028ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13567人が本棚に入れています
本棚に追加