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「セシリア」
彼女が優しく笑う。
そして、その顔が近づいた。
(っ!)
頬に触れた唇。
耳元にセシリアの吐息が触れる。
「わたしもヨハンが大好き」
と。
「いぃやっほぉぉっ!!」
北館と南館の窓が一斉に音を立てて開き、歓声が飛び出してきた。
ずらりと並ぶ、ギルドの面々。
全員がニタニタと笑っている。
「な、なんだぁ!?」
「ヨハン、やったね!」
「おめでとう!!」
「くっそぉヨハン! 俺のセシリアちゃん返せぇ!」
最初の声は北館のエルダ。
次が南館からで、受付嬢レニアだ。
最後は分からない。
というより、その後も膨れ上がる声の嵐に、ヨハンは聞き取ることが出来なかった。
状況を飲み込んだのは、たっぷり時間を費やしてからだ。
「……み、見られてた」
「そうみたい」
唖然とセシリアの声が返ってくる。
彼女も知らなかったらしい。
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