Chapter 21

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「てめえら! 今日は久しぶりにパーっとやろうぜぇ! ヨハンと嬢ちゃんの記念日だ!」 「あーっ! カイン様!!」 北館の二階に、窓から顔を覗かせるカインを見つけた。 憎たらしいくらいの笑顔だ。 その隣では、彼より遥かにさわやかな――しかし、やはり含みのある表情のロイ。 ギルドマスターの微笑みも見える。 ヨハンは愕然と周りを見渡した。 彼らは学生の告白現場を目撃するために、窓で息を潜めていたというのか。 非常時だというのに。 「この人たち、なんてことに時間つかってんだ。 仕事しろよ」 歓声と野次の中に、せめてもの愚痴を混ぜる。 誰も聞いていないだろうし、聞こえたとしてこの連中が動じるとも思えないが。 「ヨハン! ヨーハーンー!」 さらに上がった声にぞっとする。 「なんでいるんだよ!!」 隊員達に混じって、ライオットとリンの姿があった。 窓枠にかじりついて手を振っている。 あのはしゃぎようからして、見ていたということは疑う余地も無い。
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