Chapter 21

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(なんか……終わった) 虚脱して、ヨハンは椅子にもたれかかった。 口から勝手に零れるのは、乾いた笑い声。 その時、ふと暖かい感触に包まれた。 セシリアが後ろから腕を回して、そっと抱きついたのだ。 それを見たことで、さらに祭りのような歓声に沸くギャラリー。 「わたしみんなを信じる。それから、ヨハンのことも。 だからずっとそばにいて」 「ああ。二人で未来を見つけよう」 「うん」 馬鹿騒ぎの止まないギルドの中庭で、セシリアと空を見上げた。 建屋で仕切られた細長い景色。 高く、高く――蒼空はどこまでも続いている。 僕の上に降る涙 -完-
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