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魔物……彼らは古より存在していた。
ヒトの住む世界とは別の、どこか。
隔絶された地、理解の及ばぬ彼方が彼らの住処だった。
魔物は度々人間世界に降り立ち、その牙、その爪で、自分よりも脆弱な命を弄ぶことがあった。
頻度の多いことではなかったが、人間を襲っていたのだ。
彼らの姿形はそれこそ千差万別。
見るも恐ろしい巨大獣から、その容姿で誘惑の罠にかける美女まで様々。
人は食物連鎖の上に立つ彼らの存在に怯え、畏怖した。
それがおよそ十数年前までのこと。
ある日、一体の魔物が人の地に姿を現した。
……と言われているが、その時魔物の姿を見たものは誰もいない。
正確には、その姿を見て生き残ったものは誰もいなかった。
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