Chapter 1

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魔物……彼らは古より存在していた。 ヒトの住む世界とは別の、どこか。 隔絶された地、理解の及ばぬ彼方が彼らの住処だった。 魔物は度々人間世界に降り立ち、その牙、その爪で、自分よりも脆弱な命を弄ぶことがあった。 頻度の多いことではなかったが、人間を襲っていたのだ。 彼らの姿形はそれこそ千差万別。 見るも恐ろしい巨大獣から、その容姿で誘惑の罠にかける美女まで様々。 人は食物連鎖の上に立つ彼らの存在に怯え、畏怖した。 それがおよそ十数年前までのこと。 ある日、一体の魔物が人の地に姿を現した。 ……と言われているが、その時魔物の姿を見たものは誰もいない。 正確には、その姿を見て生き残ったものは誰もいなかった。
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