13570人が本棚に入れています
本棚に追加
当時、世界五大国の一つであったノワール帝国。
“奴”は一晩で、その広大な国土を、そこに住まう民もろとも壊滅させた。
悪夢とも言える言葉を、その大地に刻みつけて。
『我はここに在る。
貴様ら人間の、息遣いを聞く距離に。
我が影から逃げることは叶わぬ。
恐れて生きよ。
夢に怯え、明日に絶望せよ。
それが我が渇きを癒す術と知れ』
その時からだった。
これまで侵略者であった魔物たちが、人間世界に生きるようになったのは。
蒼々たる運河。
天を突く山脈。
無限の大空。
魔物はどこにでも姿を見せるようになった。
最初のコメントを投稿しよう!