Chapter 1

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当時、世界五大国の一つであったノワール帝国。 “奴”は一晩で、その広大な国土を、そこに住まう民もろとも壊滅させた。 悪夢とも言える言葉を、その大地に刻みつけて。 『我はここに在る。 貴様ら人間の、息遣いを聞く距離に。 我が影から逃げることは叶わぬ。 恐れて生きよ。 夢に怯え、明日に絶望せよ。 それが我が渇きを癒す術と知れ』 その時からだった。 これまで侵略者であった魔物たちが、人間世界に生きるようになったのは。 蒼々たる運河。 天を突く山脈。 無限の大空。 魔物はどこにでも姿を見せるようになった。
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