Chapter 1

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風系魔法でも極めて強力なそれは、対象物周辺のごく僅かな範囲に対して強制的に大気を押し込む。 急激な大気の流入は気圧を引き上げ、超高圧の空間を形成するのだ。 瞬間的な高圧変化は肉も骨も容易く握りつぶす。 魔物といえども生きてはゆけないはずだ。 だが…… 「流石はカイザードラゴン。 この程度では死ねぬとみえる……」 静かにドラゴンへ歩み寄る。 カイザードラゴンは死の悶絶を繰り返していた。 その叫びは感情あるものではなく、外圧によって搾り出される空気の音でしかない。 隙間風のような絶叫に混じって、硬いものが砕ける音が鈍く伝わってくる。 「苦しいだろう……今、楽にしてやる」
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