Chapter 2

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(あっちゃぁ……やっちゃった) 「驚かせてごめん! 怪我とかしてない?」 男は芝に座り込んだままの女性、セシリアに手を差し出して詫びた。 彼女はややして表情を緩めると、ふっと温かい笑みを浮かべて、その手を取る。 「ううん。わたしの方こそ、気付かなくてゴメンね」 事故とはいえ、セシリアの手を握れたことを内心で喜びながら、それでも表情には出さないように努めて、立ち上がらせた彼女の周りを一周する。 彼女に怪我や、大した汚れがないことを確認して、安堵の息をつく。 「よし、 大丈夫そうだ。 本当にゴメンね。 こんな暑いときに、窓掃除?」 彼女は額に汗を浮かべた笑顔で、小さく頷いた。 「うん。ヨハンこそ、こんな暑い日にも剣の練習? 毎日すごいね」
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