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両親の仕事や通っている高校、出会ったところなど聞かれて答えるのが精一杯だった。
私とお祖母さんが会話をしているときでもうつぶせになっている宮川くんが気になって話に集中できずにいたからだ。
『西高校は昔から学校から見える海が綺麗だったけど今でも変わってないんだろうね~。』
『今でも天気の良い日は景色がいいですよ。』
適当に返事をしても失礼になり真剣に話を聞いていると疲れてきてしまうので、頃合いをみて帰ることにした。
時間は4時50分―。
天気は昼より悪くなっていた。
今しか帰るタイミングが無いな、と思った私は言った。
『天気も悪くなってきてますし、今日はこの辺で帰りますね。』
『見送りするよ。』
『あらそう?
もう少ししたら良介の母親が帰ってくるから送ることもできるんだけどね~。』
お母さんに会う心の準備まで出来ていない私はお気になさらずに、としか言えず自転車があるので大丈夫ですよと伝え、帰る準備をした。
『ごめん。
いきなり祖母さんと話すようになってしまって…。
見送りも家からしか出来ないけど…。』
『宮川くんこそ大丈夫?』
『今は落ち着いたみたいだし、もうすぐ母さん帰ってくるから大丈夫さ。
帰り着いたらメールしてね。』
『わかった。
じゃあメールするね。』
―…今日の宮川くんの行動は私をしばらくの間悩ませるものとなる。
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