2人が本棚に入れています
本棚に追加
そこで少女は一歩踏み出す。
今は無くなった左手で、右肩の傷口を抑え、右手で左手を抑えてと変な格好している俺は少女を睨みつけた。
今度は顔が良く見えた。
腰まで伸ばした黒髪に大きい青い瞳。小さい口元はやや引き攣り、笑っていた。
電灯の光で細い首筋が照らされる。
青い目もじっとこちらを見つめていた。
「なんだよ…なんでずっと見てんだよ…!」
今にも泣き出しそうなしゃがれ声で、俺は少女に言い放った。
少女は未だにそれを俺へと向けている。
殺すなら一思いに殺してほしかった。
だが、俺の思いとは裏腹に、少女は右手に持っていたそれを、今度は自分のこめかみに向かって押さえ付けた。
最初のコメントを投稿しよう!