序章

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――今日は、俺にとって特別な日だ。 今日は、俺にとって大切な日だ…… 誰かに自分の誕生日を祝って貰えることの大切さに気が付いたのは、つい最近の事だった。 自分がこの世に生を受けた日に、「おめでとう」と言われる事がどれだけ嬉しい事か…… ……けれど、誰も俺に「おめでとう」、とは言ってはくれない。 誰も祝ってはくれない。 それもそのはず。なんせ俺は、俺は、引きこもりだからだ。 タダ飯を食らって親に迷惑をかけるだけの寄生虫…やることはネトゲとブログと時々絵かき。 この"ていたらく"な生活を始めで早一年。 母親に無理言って、金を出してもらった高校にも、今はまるで行ってない。 今年で退学になるだろう。 それ程熱中出来る物がこの世には腐るほどある。 それを、漁るのが楽しくてしょうがない。 ――だが、いつからだろう。 このままではいけないと、焦りはじめたのは…… 何も変えられない俺が、この世から消えて無くなりたい、と思うようになったのは。 俺が、自分なんてこの世に必要無い、と感じるようになったのは。 俺は、こんなにも無力なのだ。
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