俺とあの子と右手の拳銃

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通りを抜け、更に歩く事5分。 電灯に照らされながらも視界が悪い、真っ暗な公園へやって来た。 普段は近所の子供で賑わう、こじんまりとした小さな公園だ。 すぐ傍の木製のベンチに腰掛け、夜のひと時を堪能する。 誰も居ない、何も聞こえない、俺を縛るものも無いこの場所は、俺にとって唯一くつろげる空間だ。 コーラを味わいながら、闇の向こうをじっと見つめていた。 ふと俺は考えた。 ……もし、この世界に俺以外の人間が居なくなったらどうなるんだろう、と。 仮にそれを想定すると、地球上の人類はたった一人になる訳だ。 もし、誰も居ない世界で、こうしてベンチに座ってコーラを飲んでいるとしたら―― 俺はそこで思考を切らした。 闇の向こうで、何か人影らしきものが微かに動いたような気がしたからだ。
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