俺とあの子と右手の拳銃

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俺にはそれが何なのかわからず、ただ黙って缶に口を付けようとした時、轟音が響いた。 と、同時に凄まじい耳鳴り、左手に違和感を感じ、咄嗟に下を見ると、缶を持っていた筈の手首から先が無くなっている。 飛び散った肉や骨の破片が服や顔に張り付き、やや生暖かった。 「…俺の手が、無い?」 突然の事態に収拾が付かず、途方に暮れていると、左手のまだ"残っていた"意識が悲鳴を上げはじめた。 激痛のあまり声が漏れる。 右手で痛みを押さえ付けるが、まるで意味は無い。 不意に少女を見上げると、少女の手にしていたそれの先端から、焼けた火薬の臭いと白煙が立ち込めていた。
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