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◇◇◇◇◇
「じゃあ、また明日な、楓。」
先輩は僕を寄り道せずまっすぐ家の前まで送ると、そう言って頭を撫でた。
「ごめんな、今日は用事があって遊んでやれないんだ。また今度、時間がある時に遊ぼうな。」
申し訳なさそうにそう言う先輩に、無言でこくりと頷く。
用事が何かはわかってる。
女の人と会うんだろう。
先輩はモテるし、来るもの拒まず去るもの追わずで何人とも相手をしていることは知ってる。
だからってそんなことは僕には関係ない。
元より先輩の1番になろうだなんて思っていないから。
こうして先輩が頭を撫でて、名前を呼んで、時々抱かれて。
それでいい。
「じゃあね、先輩。」
それだけ言って、僕は家の中へ入った。
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