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靴を脱いで家へ上がると、リビングの中から人の話し声が聞こえて来る。
ひとつは母さんの、もうひとつは男の人。
といっても父さんじゃない、別の誰かだ。
母さんはよくこうやって愛人を家に連れて来る。
父さんが仕事で夜遅くに帰ってくるのをいいことに、昼間にこうして男の人といるところを僕は何度も目にしてきた。
だから僕はいつも、出来るだけ長く学校に居る。
母さんの愛人が、今日みたいにいることがあるから。
なのに今日は先輩を見つけたからと言ってこんなに早く帰って来てしまったことを後悔した。
足早に自室へ向かい、静かにドアを閉める。
ベッドに寝転び、ふたりの笑い声を消すようにヘッドフォンをして音楽を聞きはじめた。
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