637人が本棚に入れています
本棚に追加
「……いや…。じゃあ…僕は友達の家にでも、泊まらせてもらう、から。」
短い言葉で全てを理解した僕は、なんとかそれだけ言ってそのまま家を出た。
母さんは止めなかった。
いや、元々出て行って欲しかったのだから、止めるはずはないんだけど。
一応止めるフリくらいするかと思ったが、きっと頭はあの男のことで一杯なのだろう。
もちろん、友達なんていない僕には行くアテなんてない。
それでも、あの家にいるよりはマシだと思った。
「今日は…野宿かなー…」
珍しくぽつりと独り言を呟き、ノロノロと暗い夜道を歩いた。
頭の中では、
なぜか先輩に借りたCDの甘いラブソングがずっと流れ続けていた。
最初のコメントを投稿しよう!