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「……いや…。じゃあ…僕は友達の家にでも、泊まらせてもらう、から。」 短い言葉で全てを理解した僕は、なんとかそれだけ言ってそのまま家を出た。 母さんは止めなかった。 いや、元々出て行って欲しかったのだから、止めるはずはないんだけど。 一応止めるフリくらいするかと思ったが、きっと頭はあの男のことで一杯なのだろう。 もちろん、友達なんていない僕には行くアテなんてない。 それでも、あの家にいるよりはマシだと思った。 「今日は…野宿かなー…」 珍しくぽつりと独り言を呟き、ノロノロと暗い夜道を歩いた。 頭の中では、 なぜか先輩に借りたCDの甘いラブソングがずっと流れ続けていた。
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