637人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく歩くと、小さな公園が見えてきた。
ひとまずその公園の入口にある花壇に腰を下ろし、なんとなく空を見上げる。
まだ夜になれば肌寒い空気に身震いした。
「毛布とか…持って来ればよかった。」
またぽつりと独り言を言って、足をブラブラと揺らす。
「……フンフンフーン…」
暇になって、さっきからずっと頭で流れていた曲を鼻歌で歌う。
ちゃんと聞いてないから歌詞もよくわからないし、メロディもサビくらいしかわからないけど。
エンドレスで同じところばかり歌っていたその時。
「………楓?」
僕の名前を呼ぶ声がした。
家族以外で、僕の名前を呼ぶ人なんてひとりしかいない。
最初のコメントを投稿しよう!