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授業が終わって、いつも通り窓の外を眺める。 あっという間に教室に人はいなくなって、外から生徒達のはしゃぐ声が聞こえる。 ふと校門の方を見れば、あの人がひとりで立っているのが見えた。 「………。」 かばんを持って、いつもよりずっと早い時間に教室を出る。 僕が校舎を出ると、校門のあたりに数人の男女と、その真ん中で笑うあの人を見つけた。 「…………。」 声はかけず、彼女達を横目に門を抜けようとした時、 「あ、楓(かえで)!」 後ろから名前を呼ばれゆっくりと振り向いた。 「今帰り?早いじゃん。」 周りにいた人達が一斉に僕を見て、その中のひとりの先輩が僕を見て「あ、」と声を出した。 「不思議の伏見(ふしみ)くんだ。」 そう言ってまじまじと僕の顔を覗き込んできた。
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