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―――キーンコーン… 授業が終わってから何度目かのチャイムが鳴る。 グラウンドで部活をしていた生徒たちが、後片付けし始めるのをただなんとなく眺めていた。 そろそろ帰らなくては。 学校が閉められてしまう。 支度を始めようと、机の横にかけてあった鞄を手にとったその時、 ―――ガタンッ! 教室の扉が突然大きな音を立てた。 驚いて振り向けば、そこには息を切らせたつばさ先輩が立っていた。 「あー…よかったー…まだ、いた…」 喉をゼーゼー鳴らしながらやっと言葉を紡ぐと、先輩がよろよろと教室へ入ってきた。 「先輩…どうしたの。」 何か家に忘れ物でもしただろうか。 こんなに急いで来てくれなくても大丈夫なのに。 そんなことを考えながら、膝に手をつき息を整える先輩のつむじを見つめていた。
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