637人が本棚に入れています
本棚に追加
「…うん。僕も…先輩じゃなきゃ、やだ。」
そう言って、自然と笑みが零れる。
と、なぜか先輩の顔がみるみる強張っていく。
…あれ?
僕が少し顔をしかめた瞬間、ギュウっと強く抱きしめられた。
「今朝も思ったけどさ…楓の笑顔、やばいから。」
「やばい?」
「やばい。かわいすぎ。…いつも無表情なだけに、破壊力が…」
なんだかモゴモゴと言っている先輩が可笑しくて、フッと笑って背中に手をまわした。
「先輩といると顔が緩むみたい。」
「…あんまかわいいこと言ってると襲うよ?…こっちは昨日の夜から我慢してんだから。」
「…いいよ?」
あっさり同意すると、先輩がはあ、とため息をついた。
「マジで…煽んないで。」
そう言って先輩は噛みつくようなキスをした。
この先輩の腕の中が、
僕にとって一番幸せな場所で、
先輩にとってもそうであることを願って。
僕は先輩の背中に回した腕の力を強めたのだった。
END
最初のコメントを投稿しよう!