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「楓、今日は帰るの早いんだね。」
「……うん。今日は、なんとなく早く帰る気になった。」
「そっか。暗いと危ないし、あんま遅くなるなよ?」
「…僕男だよ。」
「そうだけど。心配なもんは心配なの。」
まるで恋人みたいな会話。
こんな言葉を同性にかけるのはおかしいのだろうか。
同性からのこんな言葉に嬉しいと感じるのも、僕がちょっと人とズレてるからなのか。
あんまり友達もいないから、『普通』がわからない。
不思議ちゃんと呼ばれる由縁も、自分で自覚してる。
15年も生きていれば、自分が少し人と違うことくらいわかる。
そのせいで人が寄り付かないことも。
それでも先輩は、最初から優しかった。
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