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そんなのもただの社交辞令かと思いきや、つばさ先輩は言葉通り来た。
学校中の誰も呼ばない『楓』という名前で呼ばれる度に、僕の中で何かが膨れ上がっていくのを感じていた。
それが何かはよくわからないけど、ただ心地好いものだということだけは確かだった。
だからあの時も、僕は頷いた。
初めてつばさ先輩の部屋へ呼ばれた時。
急に僕を押し倒し、真剣な顔した先輩がたった一言
「……いい?」
と言った時。
何も言わずに頷いたのは、ただの同意じゃない。
そこには僕の意志も含まれていた。
この人と、もっと深く繋がりたい。
生まれて初めて、他人に対してそう思ったのだ。
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