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神崎瞬はカーテンの隙間から漏れる眩しい光によって目が覚めた。
布団から起き上がり、顔を洗う。
神崎の髪型は、襟足が肩に着くほど長く、モミアゲも顔より長い。
それなのだが、頭頂部の髪が短く立っているのが特徴だ。俗にいうウルフヘアーである。
朝ご飯を適当に食べた少年は黒いコートを羽織り、フードを被って顔を隠す。
そして、二十畳以上ある一人で使っている部屋から出ると、赤い絨毯が敷き詰めらている長い廊下を歩いていく。
途中ですれ違う人々から尊敬の眼差しを受けたり、握手を求められたりしていたが、今の少年にはそんな時間はない。
眠そうに目をこすりながら、黙々と歩いていく。
神崎の目的地は軍の最高司令官がいる部屋だ。
人が二人すれ違うのがやっとな廊下を、真っ直ぐ歩いていくとそれはある。
(ここだ……はぁ、気が重いなぁ)
どんな命令が出されるのか。魔物の軍勢を討伐しに行け?
それとも、盗賊を捕まえに行け?
それとも、探し物を一緒に探してやれ?
個人的な意見としては三番目がいいのだが、おそらくそれはないだろう。
なんてったって、雷帝なのだから。
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