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炎帝が放った言葉に、神崎は言葉を詰まらせて大きく目を見開いた。
デーモン。
魔族の総大将ともいえるやつだ。
しかしあいつは神崎が殺してしまったはずだ。
なのになぜ、今そいつの名前が出てくる?
神崎は訳が分からずに黙っていると、前崎はもう一度ココアをすすってから。
「ああ、確かにあの時、デーモンは死んだ」
しかしな、と炎帝は前置きしてから。
「俺が言っているデーモンは、そいつの子供だ」
「子供?」
「ああ、そうだ。あいつだって一児の親だったんだよ。しかもタチの悪い事に、その子供は人間とのハーフなんだ」
「え?」
神崎は驚愕する。無理もない。
本来、人間と魔族との間には性行為をしたとしても、子供が産まれるという事はあり得ないとされている。
その理由としては、生殖機能の違いだ。
少し変な話をしてしまうが、デーモンの体から分泌された白濁液と、人間の女性とのそれは、絶対に相容れる事はないはずだ。
いわば、水と油。
互いが反発し合い、絶対に交わるはずがないもの。
なのに、デーモンとの間に人間とのハーフがいる。どういう事だろうか。
「まぁ、驚きだよな。人間とのハーフなんてよ。しかもなその子供は、俺達人間とまるっきりそっくりな姿形をしているらしいんだ」
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