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地面へと真っ逆さまに落ちていった神崎瞬を乗せたハンググライダーは、轟音と土煙を発生させながら地面に激突した。
灰色のカーテンの中心部。土を頭に乗せている少年は、痛む体を無理やり立たせた。
結構な高度から落ちてきたのに、奇跡的にも擦り傷程度で済んでいるのがとんでもなく幸運だ、とか思っていると。
「う……ううう……」
神崎の下、地面との間にクッションのように広がっているものがうめき声を出す。
粉塵が風で吹き飛ばされ、視界がよくなって来た中。
空から降ってきた少年は、下を見てみる。
そこには、途中で弧を描くように曲がっている大きな角。紫色の肌。黒目ではなく赤い瞳。巨大な体。
どっからどう見ても、魔物の大将である、デーモンが倒れていた。
「あ、わわわわわわわっわわあ!!」
周りを見てみれば、大勢の魔物に囲まれている。
しかも、それら全員が血走ったような目でいきなりの来襲者を睨みつけていた。
「なんでこうなるのー!?」
瞬の絶叫は、一気に襲ってきた大勢の足音でかき消される。
粉塵を発生させながら、詰め寄ってくる千は超えるだろう突然変異の化け物。
神崎は冷たい汗を噴出しながら、ただ震えていた。
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