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一番最初に飛び掛ってきた、犬のような姿をした魔物。
頭にでっかいユニコーンのような角がなければ、普通の犬だ。
「うわぁぁあ!」
神崎は半ば諦めながら、自分が乗っていたハンググライダーの折れた先をそいつ目掛けて投げた。
先っぽの尖った部分が都合よく心臓部分を刺し貫き、化け物は短い断末魔の後動かなくなった。
ここまで来てしまったら、どうにかするしかない。
そんな微妙な覚悟と共に、少年は近くに落ちていた、日本刀のようなものを拾った。
それを構えて、全方位からの攻撃に備えるが、ここで妙案が浮かぶ。
彼はなにを血迷ったのか、足元に倒れていた敵の大将――デーモンを掴んで立たせ、その首元に刃を突き立てる。
魔族たちの動きが止まった。
今まで『ぶっ殺すぞごらぁ!』ていう感じに迫ってきていた奴らは、デーモンを人質に取っている少年を見る。
「ききき、君達。それ以上動くなよ。僕が逃げれるまで、絶対に動くなよ!!」
かなり焦りながら、神崎は魔族を脅す。これも生きて帰るためだと自分に言い聞かせながら。
このデーモン。かなりグッタリしていて、今すぐには動けないだろう。
せめて自分が逃げるまでは回復するなよ、と。神崎は願っていた。
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