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神崎は魔物が形成している円から逃れるために、一番近くの円周に近づいた。
「お前ら、そこの道を開けるんだ。こここ、こいつを殺されたくなっかたらな!」
少年はデーモンの太い首に刃の切っ先を少しだけ食い込ませる。
人間とは違う、紫色の血が少しだけ滲んできた。
魔物とはいえ、こいつらには人間と同じように五感がある。それは同族なら慈悲深い感情もあるのだろう。
神崎の脅しに、目の前にいる奴らはザァッと悔しそうにしながらも円に穴を開ける。
「ふふふふふ。そうそう。お前らは素直に動いてればいいんだよ」
完璧に悪役の台詞を、完璧に黒い笑みで言い放つ少年。
もはや、どっちが悪いかなどは関係なかった。
全ては生き残るために。
そのためになら、悪にでも善にでもなる。
彼は、デーモンの巨体をずるずると引きずりながら、円の外に出た。
だが、デーモンを手放す気にはならない。
離した瞬間に襲い掛かってくる気満々なのだから。
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