19人が本棚に入れています
本棚に追加
『守る』
人間は、意味ありげに、まるで免罪符を振りかざすかのように好んでこの言葉を使用する。
――守るために。――護るために。――マモルタメニ。
反吐がでる。
その二文字の十字架のせいで、どれだけ多くの命をうばい、この星を惨禍にさらしているのか理解しているのだろうか。いったい何を守ろうというのか。何が守れたというのか。
「すみません! 家族を守るために、仕方なかったんです!」
僕の前にも、また、十字架を背負った人間が一人。
「理由になってないよ」
僕は鎌を振り下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!