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『守る』  人間は、意味ありげに、まるで免罪符を振りかざすかのように好んでこの言葉を使用する。  ――守るために。――護るために。――マモルタメニ。  反吐がでる。  その二文字の十字架のせいで、どれだけ多くの命をうばい、この星を惨禍にさらしているのか理解しているのだろうか。いったい何を守ろうというのか。何が守れたというのか。 「すみません! 家族を守るために、仕方なかったんです!」  僕の前にも、また、十字架を背負った人間が一人。 「理由になってないよ」  僕は鎌を振り下ろした。
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