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ガラガラ……
教室の扉が開く。
「おーす、恭平」
祐斗の呼びかけに青年が応じる。
「あ、祐斗センパイ、おはよっス」
「なんでお前ここ来てんだ?ここ三年の教室だぞ?」
青年は目を丸くし、我に還ったように叫ぶ。
「え…?あ…すんませんっ…!失礼しました!」
そして勢いよく扉を閉める。
今入ってきたのは祐斗たちの後輩。
『橘 恭平』
現二年生。
何故か祐斗を慕っている。
顔立ちは非常に良く、性格も明るい。
スポーツも万能で成績も優秀。
こんな小さな島にいることが勿体ないくらいの人材だ。
四人いる現二年の中でも恭平は飛び抜けて目立っている。
「…あいつ、なんでこのタイミングに教室間違えるんだか…」
祐斗がそうつぶやくと、
唯と潤は微笑み、みんなで顔を見合わせた。
「……」
「……」
「……」
暫くの沈黙をはさみ、
学校ならどこでもある、朝の会を告げるベルが鳴り響く。
三人は席に向かい、横一列に並んだ机にそれぞれ座る。
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