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私は嵐の前の静けさのような、嫌な胸騒ぎを感じた。
そうしているうちに、大広間では宴の準備が整っていた。
人々は中央に集まり、何かを待っているようだ。
すると、私が入って来たというドアから鎖に繋がれた一匹の獣がやって来た。
“今から何が起こるんだ?”
私は背中に冷たいものを感じながら、その光景を食い入るように見つめる。
中央に引きずり出されたその獣を、人々が取り囲むと同時に、異様な空気が部屋中を包んだ。
よく見ると、人々の手には短いナイフが握られていた。
彼らが、今から行おうとしていることを止めさせようとして、私は立ち上がろうとする。
しかし、私の身体は金縛りのように動けず、声も出ない。
人々は、恍惚の表情を浮かべ獣を刺していたが、誰一人としてそれを殺すことは出来なかった。
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