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  高崎は目を細めて長く息を吐いた。 硬質な明かりを点す街路灯に、光を求めた昆虫達が群がっている。 曇っているせいか星はあまり見えず、三日月がぽつりと孤独に浮いている。 公園の周囲に植えられた木々は黒い塊となってざわざわと揺らぐ。 喧騒が、遠くから聞こえた。 高崎はごろりとベンチに横たわった。 背負っていたリュックを枕にして頭をのせる。 ごつごつとして、けして寝心地のいいものではない。 しかし硬いベンチの上、数分も経たない内に高崎は規則正しい寝息をたてていた。  
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