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  一日中歩き回っても見覚えのある場所を見つけられなかったことが、高崎の気持ちを沈ませていた。 この街のことはよく分かっている筈だが、知っている建物一つ見つけられない。 住んでいた場所すら分からなかった。 部屋のレイアウトや部分的なディテールは思い出せるのに、それ以上は無理だった。 無理に思い出そうとすると、頭の中心を針で貫かれるような激痛が走り、目の奥で色の付いた光が高速で明滅した。 これ以上はやめろとでもいうように、体が拒否反応を示すのだ。 しかし、これで簡単に諦める訳にもいかない。  
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