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「ありがとう」 あなたは覚えていますか? きっとあなたは忘れてしまっているでしょう でもいいんです 私が男の子達に川に流されそうになった時 あなたは男の子達に向かって掴みかかり怒ってくれた あの時あなたがいなかったら 私は死んでいたでしょう あれからもう何年もたちました あなたもう大人になっているでしょう 私はもうおばあちゃん 最後にあなたに会いたくてあなたがいつもいた桜の木の下で私は待っています きっと会えないそう思い瞼を閉じると暖かい何かに包まれ ゆっくりと瞼を開けると そこには悲しそうな顔をした男の人が私を優しく抱いていました あの子だ すぐわかりました 思わず声をあげると その悲しい顔が太陽の様に微笑み もう一度鳴くとその瞳から暖かいモノが私の額に落ちました 抱く力が少し強くなるとその人は言いました 『やっと見つけた』 あぁ覚えていてくれたんですね 嬉しい… それから私はずっとあなたと一緒にいました あなたは私が死ぬ時たくさん泣いてくれましたね あなたの胸の中で死ねて私は 本当に幸せでした ありがとう これからもずっと君のそばにいますから見守っているから どうか笑って下さい。
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