出会いは王道とパンツと共に

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今日は2学期最初の授業の日。 当然だるい。 勉強したいなんてことを本気で思うのは人生でも数えるぐらいだろう。 しかし、授業があるにも関わらず俺のテンションは上がっていた。 今日は最初ということで3時間授業なのだ。 つまりそれは早く帰れるということで。今日は部活もないしな。 そういうわけで地味にテンションが上がっているのだ。 「今日の授業は数学、科学、英語だーるーいー……」 無駄に伸ばし棒を使いまくる俺の悪友、鷲尾憲一(わしお けんいち)。 相変わらずあいつの髪は軽い茶色(こういうのをライトブラウンっていうのか?)で染めてある。 しかもさらにその髪をワックスでつんつんに立てている。 本人はカッコいいと思ってるらしいけど、俺にはハリネズミにしか見えねえ…。 目つきが鋭いせいか怖がられそうに思えるが、案外そうでもない。 「何言ってるんだハリネズミ。英語じゃなくて地理だろ」 「いや、それはこっちの台詞だ。このナイスな髪型は決してハリネズミ程度には真似できん。そして地理はねーよ」 「真似してるのはお前だろ。そんで冗談言うなよ」 「違う! ハリネズミが俺を真似してるんだ! そして真剣じゃ!」 声上げるなって。迷惑だろ。 「とにかく、地理はない。そしてハリネズミはハリネズミだけだ」 地理がないのはわかったけど、2文目の意味がわかんねえ……。
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