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「うげえ……マジかよ……」
「ああ、マジだ。大マジ」
「わかったから黙れハリネズミ」
憲一がその言葉に反応して騒いでいるが、それを華麗にスルーして近くの女子に本当に地理がないかどうかを聞く。
返ってきた言葉は「地理じゃなくて英語だよ」というもの。
悔しいけど……ハリネズミの言う通りか。
「てかお前、英語と地理どうやったら間違えるんだよ?」
「英語と言えば外国だろ? 外国と言えば地理。だろ?」
「だろ? じゃないわ! 答えになってないと申請するぞ!」
「連絡の時はぼーっとしてたんだよ。つまり聞いてなかった」
「だけど最初の2時間は合ってたじゃねえか」
憲一……こんなのもわからないのか、お前は。
「勘だ」
「…………お前って案外凄いいい加減だよな」
「ハリネズミに言われたくなかったよ…」
それは事実だし、否定はしない。
彼は続けて言う。
「で、どうすんだ、お前。教科書とかさ」
「借りてくるしかないだろ……隣のクラスの戸塚持ってるかなあ」
俺はここまで言ってハッとする。
まずった。
憲一の前で隣のクラスの話題は禁物だった!
「隣のクラスか……。知ってるか、康也。隣のクラスにめちゃくちゃ可愛い女の子がいるんだぜ!」
ああ、知ってるさ。
その本人事態が有名だし、何より憲一からこれを聞くのは14回目だからな。
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