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次の日、学校近くの小さな駐車場に3年生全員が集合した。
今日この山岡第一中学校は修学旅行だった。
「よぉ、夜灯。この三日間盛り上がっていこうぜ」
夜灯の仲間が寄ってきて話しかけた。
「んだよ、めんどくせぇな」
夜灯は他の生徒の前では素直に盛り上がれなかった。
いつも悪をして強がっている彼にはそんな事は出
来るはずがなかった。
そんな会話を続けていると、その小さな駐車場に3台のバスが入ってきた。
「はい、皆下がって」
先生が皆を後ろに下げた。
夜灯もおとなしく下がった。
「よし、皆乗るぞ」
先生が先頭に立ちバスに入った。
皆がぞろぞろとバスに入って、席の取り合いが始まる。
夜灯は最後に入った。
「ちっ」
席は一番後ろしか開いていなかった。
仕方がなくそこに座った。
席に座り何気なく窓の外からほかのクラスのバスを見ると、夜灯の友達が中指を立てて笑っていた。
夜灯も小さく笑い、中指を立て返した。
夜灯の悪友達は五人ほどだが、全員が違うクラスだったのでこのバスでは彼は一人となった。
だけど別にそれはどうでもよかった。
すると夜灯のバスが動き出した。
どうやら準備が早く終わったので先に出るようだ。
彼は友達に再び中指を立てて笑った。
そしてバスは発進し、友達の顔は見えなくなった。
これが彼にとって友達を見るのが最後となった。
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