2.化け猫

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この青年、麻生聖二(アソウセイジ)は若干23歳にして副班長の座にいる。茶髪にピアス、チャラそうな男。実際に言動も見た目を裏切らないのだがこの世界は実力主義。馬鹿でも実力があればある程度なら上へと行けるのだった。 「まぁこの指令を回されたのも二人の実力を見込んでだって。 …で、受けてくれるよね班長命令。」 「受けるわよ。」 「俺らに拒否権はないもんね。」 班長命令。それは第二班の中では絶対に拒否することができない命令。拒否すれば深夜の勤務や未処理の書類たちその他諸々の雑用が山の様に回される。それも班長―明―からキラキラとした笑顔で直接。仕事はそれしか与えられず、終わった後には悪夢にうなされると言う。 貞滋と鈴音の場合は明と一つ屋根の下に暮らす。家の中でもニコニコと嫌味、ささやかなイジメに耐えることを考えれば拒否など出来るはずがなかった。 「良かった~。ホシは徐々に北へと移動しているから。」 詳しい資料を二人に渡しながら言う。 「俺らの仲間の“夢見(ユメミ)”が言うんだけど今日は隣町に現れるだってさ。」 夢見。それは読んで字の如く夢で未来―先―を見る者達の総称である。 正しこれは確定された未来ではなくあくまでも無数に枝分かれする未来の一部でしかないのだ。 「確かな情報ではないわね。」 「けどそれしか手掛かりがないのも事実。後は気配を探して行くしかないね。」
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