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その日の夜。深夜1時。
「なんでこれだけ妖気が充満してるのかしら。」
道楽町。第一小学校前。
「これじゃあ黒猫が何処にいるのかわからないね。」
この町は異常な程妖気が充満していた。
「こうなったらテージ匂いで捜すのよ。」
「はぁ!?」
妖気が充満しすぎていては特定のものを捜すのに時間がかかる。
だから貞滋の鼻を使おうと考えたのだ。
「『獣』は鼻も利くし、第六感も優れてるって言うじゃない。」
「だからってねぇ…!?鈴!」
その時ある一カ所で妖気が膨れ上がった。
「行くわよテージ!」
二人は妖気の元へと急ぐ。
しかし膨大な妖気に引き寄せら我を忘れた妖達が行く手を阻む。
「邪魔よ!風殺鎌鼬(フウサツカマイタチ)!!」
鈴音が手で宙を切ると二人の目の前の妖達が風の刃によって倒れていく。
それでも次から次へと妖達は襲い掛かってくる。
「鈴、これじゃきりがないよ。それに気配が遠ざかって行ってる。」
先程感じた膨大な妖気はどんどんと離れていた。
「こうなったら…。」
貞滋は隣から何か紙を出す音を聞くと霊力が上がるのを感じた。
「地獄の門を護りし業火を宿す獣よ。悪しきもの達を救い給え。我命ずる。」
鈴音は口元に呪符を当てその紙に透き通るような、心にすーっと入っていくような声で言玉を吹き込む。
同時に霊力の上昇にともなって鈴音の足元が赤く歪む。
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