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その頃貞滋は―。
『やっと追いついた。』
走る黒猫の前に後ろから跳び越し行く手を妨げる。
『何故君は妖に狙われている。』
黒猫は何も答ず上がった息を整えるだけだった。
『君のその異様な力。妖力?いや…違う。』
貞滋の目が細められた。
それに負けじと黒猫は貞滋を睨み返す。
『君はその霊力のせいで狙われてるんだね。』
『なっ!?』
その言葉に黒猫は初めて言葉を発した。
『元から妖が持つ妖力で上手く包み隠してるけど僅かに溢れているのは人が持つ力、霊力だよね。』
黒猫は一歩下がって何時でも逃げれる体制をとる。
『無駄だよ。』
後ろに下がった時何かを踏んだ。
するとたちまち周囲に結界が張られた。
自分の周りに張られた結界をぐるりと見ると黒猫は諦めたのか貞滋へと話しかけた。
『お主何者じゃ。この結界は妖が張れるものではなかろう。』
『やっと喋ってくれた。』
『答えぬか。妖の中で最も最強最悪の種族九尾の生き残りよ。』
黒猫の言葉に貞滋の雰囲気が変わった。
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