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貞滋が去ろうとしたとき少年が打ったであろう頭をさすりながら話しかけてきた。
「あの力は狐の妖、お前か?」
『!?』
思いもよらぬ言葉に足を止めてしまった。
『なん『か―えでっ!』で!?』
頭上からいきなり高い声が聞こえたかと思うて勢いよく落下してきた。
その声の主は貞滋の目の前で急停止するとビシッと貞滋を指指し怒鳴った。
『おい、お前!楓(カエデ)になに怪我しゃしぇたな!!許しゃないぞ。覚悟しろ!!』
貞滋はふと思う。
「いや。違うし。ってかその舌ったらずでどなっても迫力ないって。みのる。」
思いもよらぬ発言に少年も呆れた。
(この姿の俺の目の前には座りこんで頭さすってる少年。この構図ってやっぱり俺が加害者になっちゃうんだよな…。)
貞滋は尻尾をゆらゆらと振りながら検討違いなことを考えていた。
『―!?』
すると先程まで威勢のよかった目の前の小さな相手の顔色が真っ青になっていく。
『きゅ…ぅ…び。』
小さなこえでぽつりと呟くと楓と呼ばれた少年に詰め寄った。
『楓!早く立って!逃げるよ!』
「はぁ?でもこいつは『いいから!殺しゃれちゃうよ!』って?殺される?」
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