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二人が言い合いをしているのをぼんやりと見つめる。
(九尾。絶滅。殺される。そんなこと言われたの久しぶりだな。俺何も知らない。知らなきゃいけないのに知ることが怖い。)
『あーもう!頑固者!無理矢理連れて行くからね!』
なかなか折れない楓に痺れを切らし強引にでもこの場を立ち去ろうと妖力をあげる。
(知った時、俺が俺(貞滋)でいられるかが怖いなんて。)
『情けない。』
ぽつりと呟いた時目の前で竜巻が起きた。
『行く「縛(バク)」よ!?』
いきなり竜巻が解け二人は落下した。
「いってぇ~。何すんだ!いき…なり。」
盛大にお尻から落ちた楓は怒鳴ったが最後の方は小声になってしまった。
それもそのはず。目の前には一つの身体に四つの頭をもつ四頭獣がいたのだから。
「テージ。」
四頭獣から飛び降りた鈴音に呼ばれ意図を察する。
『結果から言うと逃げられた。』
「で?」
鈴音は楓とみのるに視線を移す。
『なんか妖力を感じてきたみたい。そっちの小さな子妖だし。楓とか言う少年は見えるし多分霊力を使える。』
貞滋の言葉に今まで四頭獣に呆気に取られていた楓がみのるをすくい上げる。
「みのる!みのる!しっかりしろ。」
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