3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
鈴音の殺気に耐えられなくなったのかみのるは楓の後ろに逃げ、壁がわりにされた本人はきょとんとしている。
鈴音は隣の貞滋をちらりと見るとため息をつき呟いた。
「我が血を持って我が命に従え。封印。」
すると貞滋の身体が光り輝きそれがおさまると人型に戻っていた。
その光景を目の当たりにした二人はぽかんとするしかなかった。
そして人型に戻った貞滋に軽くアッパーを食らわす。
「っぐ!?」
鈴音の行動が読めずそのまま受けてしまい首がのけ反った。
「何してるの。行くわよ。」
そんな貞滋には見向きもせず今まで大人しく控えていた四頭獣へと飛び乗った。
とりあえず貞滋も同じように飛び乗ろうとすると焔に話し掛けられた。
『小僧。お主はお主じゃ。それともそんなことを気にするほどの軟弱者か。』
他の三頭も口々に貞滋をからかう。
『おっ。じゃあ俺勝てるじゃん。』
『その前に僕が倒してあげるよ。』
『…馬鹿ばっかり…。』
そんな四頭を見て口元に笑みを浮かべる。
「ふっ。言ってくれるね。
返り討ちにしてあげるよ。」
挑発には挑発でかえす。売られた喧嘩は買うとでも言うかのように。
今の貞滋には鈴音の不器用さも四頭獣の励ましもとても暖かく感じた。
「何してるの!帰るわよテージ。」
最初のコメントを投稿しよう!