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だから中途半端に妖から狙われたりしていた。
みのると出会ったのも妖から逃げている途中だった。
「こっちくんなよ!」
見ることが出来ない楓は逃げることしか出来なかった。
逃げてもどんどん迫ってきていることはわかった。
(やばい。追いつかれる!)
身を隠すところを見つけようと林の中に逃げ込むが距離が近すぎて隠れたとしてもばれてしまうことはわかっていた。
(もっと。もっと離さなきゃ。)
考えるよりも先に体が動く。
急に方向を九十度右にかえ二階くらいの高さの崖から飛び降りた。
この時楓は自分の生まれながらにしての運動神経の良さに感謝した。
そして小柄な体を利用し岩と岩の窪みに隠れた。
妖達はあまりにも急な行動についていけなかったのか、崖を降りてきたがそのまま楓に気づかず去っていった。
「はぁ~。助かった…。」
緊張状態が解けがくっと肩から力を抜いた。
「…ん?」
ふとお尻に違和感を感じ恐る恐る窪みから出てみると体調十センチ程の男の子が傷だらけで倒れていた。
「っちょっ!?おい!しっかりしろよ!」
両手で掬い上げてみたもののぴくりとも動かなかった。
とりあえず手当てをと思い連れて帰ろうとしたが妖に見つかってしまった。
『ワタセ…。』
「はぁ?」
『ソイツ…ヲワタセ。』
楓は手の中の男の子を見た。
「―っ誰が渡すかよ!」
楓は妖に思い切り飛び蹴りを食らわせ、倒れた妖を飛び越え逃げた。
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