3.禁断の契約

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「はぁ…はぁ…。」 辺りはいつの間にか日が沈み楓の息遣いが自身にやけに大きく聞こえていた。 胸に抱え込むように抱く小さな男の子を気遣いならが林を駆け抜けて行った。 後少しで林を抜けたところで油断してしまったのか横から先程気絶させた妖が来ているのに気づかなかった。 『ミツケタ!』 「っぐあっ!」 思い切り横から殴られ木の幹に激突した。 『ワタセ…。カゼノミコ。オマエモクウ。』 「だ…が…。誰が渡すかよ。」 とっさに抱えていた男の子を庇ったので脇腹に思い切り喰らってしまった。 「誰が食われるもんか。」 ふらふらと立ち上がった。 「お前は俺がぶっ飛ばす!」 叫ぶのと同時に妖が襲いかかってきた。 大見えを切ったのはいいがいざとなったら怖くなり思わず目を閉じてしまった。 しかし覚悟していた痛みは来ず、恐る恐る目を開けると目の前には妖…ではなく先程まで抱えていた男の子がふよふよと浮いていた。 『お前、力があるみたいだね。オイラに手をかしてくれないかな?』 よくみれば風の渦が妖を止めていた。 「お前怪我し『しゃっしゃと決める。』」 楓は一瞬迷ったがこの状況を打破するには目の前の妖を倒すしかないと考え頷いた。 すると男の子は姿を黒の骨組に鮮やかな萌黄色の扇子に変えた。
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