3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
楓が戸惑いながらそれを手に取ると頭の中に声が響いた。
―『横へひと吹き。』―
「おりゃぁあ!」
痛む脇腹を抑えつつ言葉の通りにすると風が起こり妖が吹き飛んだ。
―『オイラを回して。』―
手首を使い八の字を描くようにクルクルと回すと竜巻が起きた。
「おぉ!?」
妖が再び立ち上がって襲い掛かって来ようとしていた。
―『放って。』―
「これでもくらいやがれ!」
そのまま起こした竜巻を飛ばす。
それは妖に当たりその妖は吹き飛ばされていった。
「はぁ…はぁ…」
楓は扇を見つめた。
「お前何なんだよ一体。」
体から力が抜けその場に崩れ落ちた。
扇に姿を変えていた男の子も元の姿に戻った。
「おいこら。説明しろよ。」
ちょんちょんと突くが反応がなかった。
「ちょ…!おい!しっかりしろよ!!」
楓は体力がない体を必死に動かし家へと急いで連れ帰った。
*******************
「それから俺達は一緒にいるって感じかな。」
楓は話終えると目の前にある煎餅をはりばりと食べた。
『何の話?』
今まで気絶?していたみのるもようやく復活した。
「俺とお前の出会いの話。」
『あの時楓に出会ってなくオイラだけだとじぇったい(絶対)逃げれなかったよ。』
「俺もだ。」
あははは。とにこやかに話している横では鈴音が頭を抱え、貞滋は苦笑している。
最初のコメントを投稿しよう!